
まだ5月の下旬ですが、そろそろ暑さが気になる季節になってきましたね。日本の夏は年々暑さが増し、2024年には犬の熱中症による診療件数が1,453件に達しています(アニコム損保調べ)。犬は人間よりも平熱が高く、外気温や湿度の影響を受けやすいため、適切な対策が求められます。特にアスファルトやコンクリートの地面は、気温以上に熱を持ち、犬の肉球に火傷を負わせることもあります。犬は体温調節を主にパンティング(口呼吸)で行いますが、高温多湿の日本ではこの機能が追いつかず、熱中症や重篤な症状を引き起こすことがあります。命に関わるリスクを未然に防ぐためにも、正しい知識と対策が不可欠です。
犬にとって夏の暑さが危険な理由
● 汗をかけない犬の体温調節の限界: 犬や猫は全身が密集した毛に覆われており、汗腺は足裏などごく一部にしかありません。人間のように全身の汗で熱を発散できず、主に呼吸(パンティング)や血液循環による放熱に頼っています。しかし気温や湿度が高い環境では、この蒸発による放熱がうまく機能せず、体温が下がりにくくなります。体温の上昇が続くと体内のタンパク質が変性し、臓器機能に障害が生じ、多臓器不全に陥ることもあります。このように犬は人より暑さに弱く、重度の熱中症は命に直結します。<参考:anicom-sompo.co.jp>
● 日本特有の高温多湿な夏: 日本の夏(特に梅雨明け~盛夏)は気温30℃以上の真夏日が連日続き、湿度も70~80%に達する蒸し暑さです。例えば2023年の夏(6~8月)は平均気温が観測史上最高となり、異常な猛暑となりました。湿度が高いと犬のパンティングによる蒸散冷却が効果を発揮しづらく、体温がさらに上昇しやすくなります。加えて日本では都市部を中心にヒートアイランド現象で夜間も気温が下がりにくく、犬にとって休息できる涼しい時間帯が限られることもリスクを高めます。<参考:news.jprpet.com>
● 地面からの照り返しと閉鎖空間の危険: 犬は人より身体が低く地面に近いため、アスファルトなどからの照り返し熱を強く受けます。真夏の舗装道路は60℃近くに達することもあり、散歩中に犬の体温を急激に上げる要因になります。また、密閉された車内や風通しの悪い室内は短時間で高温多湿環境となり非常に危険です。環境省も「気温の高い日にエアコンを切った車内にペットを置き去りにしないよう」強く注意喚起しています。わずかな時間でも車中の温度は急上昇し、最悪の場合、熱中症で命を落とす危険があります。<参考:anicom-page.com>
暑さに特に弱い犬の特徴
犬によって暑さへの強さは異なりますが、以下の特徴を持つ犬は特に注意が必要です。
- 鼻の短い犬種(短頭種)
フレンチ・ブルドッグやパグ、シーズーなどは鼻が短く、呼吸による熱放散が苦手で暑さに弱いです。外出は気温の低い時間帯にし、室内もエアコンで温度管理を徹底しましょう。 - 厚い毛の犬種(寒冷地原産)
シベリアンハスキーやサモエドなどは厚い被毛が熱をため込みます。暑い日はエアコンを使い、涼しい場所で過ごさせる工夫が必要です。 - 高齢犬
年を取ると体温調節機能が低下します。持病(心臓や呼吸器、腎臓)のある犬は特にリスクが高いので、早めに涼しい場所に移動させましょう。 - 太り気味の犬
脂肪が多い犬は体に熱がこもりやすく、暑さに弱いです。体重管理を心がけ、暑い日は無理をさせないようにしましょう。 - 子犬や病気の犬
体温調節が未熟な子犬や、呼吸器・循環器に問題を抱える犬も暑さに注意が必要です。水分補給をこまめに行い、日中の外出は避けましょう。
これらの犬は、日頃から暑さ対策を意識し、少しでも異変を感じたら早めに涼しい場所へ移動し、必要に応じて獣医師に相談することが大切です。
夏に向けたペットの熱中症対策

2024年の夏は、1898年の統計開始以来、2023年と並ぶ記録的な猛暑となり、ペットの熱中症リスクが急増しました。アニコム損保の調査では、2024年の犬の熱中症診療件数は1,453件、猫は171件。特に7月(541件)と8月(385件)に集中し、4月から既に増加傾向が見られています。また、2024年4月からは環境省と気象庁による「熱中症特別警戒アラート」が新設され、WBGT(暑さ指数)が35以上となる極端な暑さの日には、ペットも含めた命の危険が警告される体制が整いました。
こうした状況を踏まえ、2025年は以下のポイントを意識した対策が重要です。
- 春先(4月~5月)からの早期対策
熱中症リスクは初夏から始まるため、散歩時間の調整、冷感グッズの準備、室内温度管理を春から意識しましょう。 - 最新の情報を常にチェック
環境省の「熱中症予防情報サイト」やアニコム損保の「熱中症週間予報」などを活用し、警戒アラートが発表された日は散歩や外出を避け、冷房を活用しましょう。 - 高リスクのペットに配慮
短頭種、高齢犬、持病持ちの犬は特にリスクが高いため、早めの健康チェックと無理のない対策が必要です。 - 熱中症対策グッズの活用
空調付きペット服、冷却マット、クールネックリングなどのグッズを取り入れ、ペットが快適に過ごせる環境を整えましょう。
2025年も引き続き猛暑が予想されます。大切な家族であるペットの命を守るため、早めの対策と最新情報の活用を心がけましょう。 <参考:https://pet-biz-japan.com/newstrend/20250424-1/>
日常でできる暑さ対策の工夫

猛暑でも、飼い主の工夫次第で愛犬の負担を減らせます。以下に、具体的なポイントを紹介します。
1.涼しい時間帯に散歩する
日中の暑い時間は避け、早朝や夕方以降の涼しい時間に散歩を切り替えましょう。地面を手で触れて熱くないことを確認し、暑い日はドッグシューズや芝生・土の上を選ぶのもおすすめです。高温日は散歩を控え、室内遊びで運動量を補いましょう。
2.こまめな水分補給
散歩や外出時は携帯用ボトルで水分をこまめに補給させ、飲みたがらない場合は薄めた犬用電解質飲料や氷を試してみましょう。普段から清潔な水を常備し、ウェットフードや水分の多い食材を加えるのも有効です。
3.室内の温度・湿度管理
エアコンを活用し、室温は24~26℃、湿度は60%以下(理想は50%)を目安にしましょう。エアコンだけでなく、サーキュレーターで空気を循環させると効果的です。留守番時もエアコンは切らず、遮光カーテンなどで直射日光を防ぐ工夫を。
フローリングやタイル、冷感ジェルマット、保冷剤入りマットなどを使い、犬が自由に涼を取れるスペースを用意しましょう。屋外では日陰を確保し、水をまいて気化熱を利用した温度下げを工夫。高齢犬には無理をさせず、穏やかに過ごさせましょう。
4.車中・留守番の徹底管理
エアコン停止中の車内は短時間でも危険な温度上昇を起こします。「少しの時間だから」と油断せず、車内放置は絶対に避けましょう。室内でも締め切った空間は危険です。温湿度計を設置して数値管理を行い、スマート温度計や見守りカメラを活用して外出先からも確認できると安心です。ださい。高齢犬や持病のある子ほど慎重すぎるくらいでちょうど良いという意識で臨みましょう。
暑さ対策グッズOEMのご提案
ペットの暑さ対策グッズはいくつも市販されていますが、それぞれ特徴がありますので、愛犬の体格・健康状態・好みに合わせて選んでみてください。特に高齢犬は無理なく使える軽量でシンプルなものが良いでしょう。また、新しい製品を使う際は嫌がってストレスにならないか様子を見ることも大切です。グッズはあくまで補助であり、基本は飼い主の目配り・気配りですので、併用して万全の暑さ対策を施してあげましょう。
・保冷剤を入れられるポケットがついたグッズ
→ バンダナやお散歩用ハーネス、歩行補助ハーネス)にちょっと工夫した製品
・冷却ジェルマットカバー
→ 決まった規格の冷却ジェルマットとオリジナルカバーにロゴ入れやタグ付けなども可能。
暑い日本の夏を安全に乗り切るためには「知識」と「事前準備」と「早めの対策」が欠かせません。
特に高齢の愛犬にとって快適で安全な環境を整えてこの夏も元気に過ごせるようにしましょう。人間にとっても厳しい暑さですが、大切な家族であるワンちゃんは自分で対策を取れません。
飼い主が率先して正しい暑さ対策を実践し、愛犬の命と健康を守ってあげてください。そしてペット用品の企画担当の方は、ぜひ飼い主のニーズを汲み取った製品開発で、ペットと飼い主の快適な夏をサポートしていただければと思います。